千本ノックの大切さ
2009-09-18


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「加速勉強法」で書いている「全体の構造を見切る」→「ドボーンとディテールに飛び込む、自分で手を動かしてデータを触る」ということについて、LD 田端さんがご自身のとても面白い体験を書いて下さっています。

「マガジンハウスのBRUTUSが、毎年、3月15日発売と 9月15日発売に発売される号で、何を特集するか?私はきわめて正確に言い当てることが出来る」

というお話です。

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岩瀬さん風にいうと、「勉強する力=見切る力」であり、その内実は、「全体像を把握し、重点ポイントを見定め、出来ないことはやらない」ということになる。

しかし、気をつけて欲しいのは、「見切る」ということは「楽をする」あるいは「手を抜く」ということでは決してない。

岩瀬さんは、A4書類で20ページくらいの紙に入ったデータ入力のような仕事でも、出来る限り、自分でやるということだ。そんな単純作業こそ、外注か、アシスタントにでも任せて、もっと「付加価値の高い」ことをやるべきだ、というのが、よくある発想だが、著者は「それは違う」と言い切り、実際に手を動かして、データを触っているからこと、見えてくるものがあるのだ、と主張する。

この部分にも、私は強く同意をする。実体験なので紹介しよう。

マガジンハウスという出版社が、BRUTUSという雑誌を出している。号によって特集する内容は、巨人軍だったり、理想のビーチについてだったり、 Youtubeだったり、と特集がカバーするジャンルは非常に多岐に渡っている。しかし、私は、マガジンハウスのBRUTUSが、毎年、3月15日発売と 9月15日発売に発売される号で、何を特集するか? きわめて正確に言い当てることが出来る。

その2回の号では、必ず、ファッション特集なのだ。

3月15日発売では、春夏のスーツなどのファッションが、9月15日発売では、秋冬のファッションが特集される。雑誌の特集というのは、編集長と、編集者が、クリエイティブにブレストをやって、ワイガヤ決めている印象があるだろうが、これは広告代理店に広告主であるアパレルメーカーまで含めたギョーカイのお約束的な慣習なのだ。

なぜ、そのことに気づいたか・・。 今を遡ること 6年前の夏。私と、小林大祐さんは、たった二人のチームで、後のR25創刊の源流となるのプロジェクトを実行していた。

当時のリクルートでは、就職ジャーナルは就職、カーセンサーは中古車、ゼクシィは結婚式場というように、媒体ごとに明確にカバーするジャンルが決まっているのが通例だった。R25のように、雑多なジャンルをカバーし、一般広告主からの広告費で採算を取る媒体は、「企業としてのDNAにそぐわない」くらいに言われており、R25の事業化の承認は難産だった。

そんな中で役員会からは、世の中で、成功している雑誌は、どういうジャンルの特集を、どういう比率で行っており、どういう広告主が、そこに広告を出しているのか、徹底的に調べ、その成功パターンを抽出せよ、という宿題が出されたのだ。

そこで、本屋にいって、雑誌を買いまくり、自分がストックしていたBRUTUSやGQなどにいたっては、過去のバックナンバーから、特集内容と広告内容を全てデータ化していったのだった・・・。

丸ごと2週間ほど、様々な雑誌の毎号の特集内容と、その号の発売時期とをエクセルに落としていった瞬間に「ハっ」と気がついた。

BRUTUSがファッションを特集するのは、必ず判で押したように3月15日号と9月15日号だったのである。

一見、編集長のクリエイティブな「勘」で特集内容を決めているように見えるBRUTUSにすら、そういう特集内容に法則性があり、リピートで掲載しているファッションブランドが沢山あって、媒体としては安定収入源になっていたのだ。

こういう「雑誌広告業界のしきたり」に関する100本ノック的な下積みは、今でも大いに役に立っていると思う。
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